危機管理体制

危機管理に関するBCP

[想定リスク:大気汚染]

1 . BCPについて

  • 1-1.目的、狙い

    BCP(事業継続計画) とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの 緊急事態 に遭遇した場合において、 事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、 平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことである。

    本BCPは、大気汚染が発生した場合の事前対策と、生産活動に支障が拡大した場合の緊急対応チームの意思決定、並びに各部署の行動が迅速かつ的確に実行され、 迅速な事業回復のために、 当社の関係部署の行動計画を事前に明確にする。

  • 1-2.基本方針
    従業員及び家族の人命、安全確保を最優先する
    大気汚染の予兆を捉え、適切な初動対応を実施する
    事業継続計画により影響及び被害を最小限に留める
    政府及び周辺他社と連携した対応により、社会・地域の早期安定化に貢献する
  • 1-3.目標
    稼働停止及び減産を3日間以上超えない(現地政府が承認する最短期間で再稼働する)
    大気汚染による病気発生0件
    客先稼働停止0日
  • 1-4.適用範囲

    NSKワーナー上海を対象とする。

  • 1-5.配布先
    当社の科長以上及び危機管理委員会委員
    当社の各部署の危機管理連絡窓口
  • 1-6.配布先での管理、守秘義務
    管理責任者:配布先全員
    機密区分:関係者外秘 
    機密管理上の規制:電子ファイルの転送禁止、コピー・配布禁止
  • 1-7.問合せ先

    NSKワーナー上海危機管理委員会

2.未然防止対策

  • 2-1.被害想定

    本BCPでは、上海地区で発生した深刻な大気汚染を想定する。 以下の大気汚染の実例は毎年の10月から翌年1月の間に発生し易い。 一般的に、黄色警報発出は30%限産、オレンジ色警報発出は40%限産、 赤色警報発出50%限産となる。限産%比率については、 奉賢区環境局や地方政府から他の要求がある場合は、その要求通りに実施する。

  • 2-2.減災対策

    2-1被害想定を踏まえ、有事の際に被害を最小限に留める為、危機発生前の平時対策として減災対策を実施する。

    詳細の内容は「BCP別紙② 減災対策リスト」を参照。

3.有事対応

  • 3-1.有事の対策体制

    (1)有事の場合、当社の対策体制は以下の通りとする。詳細の内容は「BCP別紙③有事の対策体制」を参照。

    NSKワーナー上海危機管理委員会委員長は総経理が担当し、委員長補佐は製造部長が担当する。事務局長は総務人事科長が担当する。各部署責任者は危機管理委員会 メンバーとし、自部署の危機管理に責任を持つ。

    (2)各部署の役割

    有事の対策体制に必要な機能とその基本的な役割は以下の通りとする。

    組織・機能 対策内容
    危機管理委員会 防災管理体系の構築
    減災物資の確認
    各部門減災対策の確認
    監督と緊急対応チームメンバーの決定、変更
    環境委員会 大気汚染に関する情報収集
    天気予報の把握
    政府側の連絡窓口、連絡方法を確認する
    大気汚染発生時の救援、訓練、限産の免除申請
    各部署防災対策実施の確認
    汚染低減の公共交通利用案を策定する
    計画 減産マニュアルを作成する
    本社の在庫を把握、在庫増を準備する
    人事 従業員防護教育
    マスク等の防護用品を用意する
    生產製造部 多能工従業員の育成
    従業員交代計画の作成
    通関
    物流リスクの把握
    物流変更案の確認
    財務 保険会社の求償業務を熟知する
    社員 自己保護装置の訓練を手配する
    上下のコミュニケーションの訓練
    指示による規則的な行動を訓練する

    (3)緊急対応チ-ムの設置及び運営要領は以下の通りとする。

    項目 内容
    設置基準 危機管理委員会委員長の判断により設置する
    設置場所 当社1号会議室
    召集方法 事務局は緊急連絡網などの手段を活用し、緊急対応チームメンバーに集合場所と時間を伝達する。
    緊急状況で、固定場所に集合できない場合には、緊急対応チームメンバーに代替となる具体的な会議方法とその通信手段を連絡する。
    会議の開催 緊急対応チーム設置後の会議は、定例会議、または状況に変化があった時や対策危機管理委員会が必要と判断した時に開催する。
    運営要領 緊急対応チームのリーダーは危機管理委員会事務局局長が担当し、各チームメンバーは直接リーダーに報告する。
    各部門は緊急対応チームの決定と指示を厳守して、執行しなければならない。
    各部署の担当者は、収集した被害情報や対応状況の報告を危機管理委員会に行う。
    従業員の避難、運営方針、稼動の有無、客先への対応方針などの重要事項は、危機管理委員会委員長が決定し、緊急対応チームが社内へ周知徹底する。

  • 3-2.会社の基本的な対応(一覧表)

    大気汚染予兆の把握時から、事態が収束するまでのフェーズ毎の会社全体の基本的な対応は、以下の通りとする。詳細な内容は「BCP 別紙④ 有事のフェ-ズ毎の行動)」を参照。

    フェーズ 定義 対応
    予兆期 国慶節後、国内は大気汚染が多い期間に入った 各部署の防災減災の準備を確認する。 事態を監視し、在庫を上げ、マスクを購入する。
    警報期 環境保護局は大気重汚染の限産条件を設定して発表した 各部署の防災減災の準備を確認する、注意喚起、室外でマスクを着用する等。
    事態を監視し、在庫を上げ、マスクを購入する。
    被害期 環境保護局は大気汚染黄色警報のため、応急処置対策実施を通知する (AQI >300) 環境保護局に提出した生産30%限産案を実施する
    生産計画を調整、限産状況を危機管理委員会に報告する
    環境保護局は大気汚染オレンジ色警報のため、応急処置対策実施を通知する  (AQI >400) 環境保護局に提出した生産40%限産案を実施する
    生産計画を調整、限産状況を危機管理委員会に報告する
    環境保護局は大気汚染赤色警報のため、応急処置対策実施を通知する    (AQI >450) 環境保護局に提出した生産50%限産案を実施する
    生産計画を調整、限産状況をNSK中国危機管理委員会に報告する
    災後回復期 環境保護局は大気汚染のための限産を解除する >300) 生産計画を調整、生産回復
    警報解除の状況を危機管理委員会に報告する

  • 3-3.情報の報告(予兆時・大気汚染発生時)

    •危機管理委員会、NSK中国危機管理委員会事務局に対し、大気汚染被害の発生予測、実際に発生している被害の状況、当社が行った対応や必要な支援などについて報告を行う。

    •報告基準と報告様式は、「BCP 別紙⑤危機報告規定&Format」を参照する。

    •客先やマスコミ、地域他社など、外部からの問い合わせへの対応や、被害や復旧状況の報告は、NSK中国危機管理委員会と対応方針を整合した上で行う。 

4. 社内展開

  • 4-1.従業員への周知方法

    教育:管理職向け・一般従業員向けの教育を定期的に行い、BCP内容の周知を行う。必要に応じ、社内へ出入りする外部業者にも内容を周知させる。

    開示:BCPは安全道場に掲示し、従業員が閲覧できるようにする。

  • 4-2.訓練

    危機管理委員会委員及び関係従業員に対して 机上訓練及び緊急対応チーム設置から初動対応までの実践訓練を定期的に実施する。

    訓練の頻度:年1回を目安とする。

    対策や手順の見直し:訓練を通じ、対策や手順等に改善すべき点が見つかった場合は、都度見直しを行う。